「お小遣い、いくらがいいかな?」
「月に渡す?週に渡す?それとも“使うたび”に?」
親になって、初めて直面するこの“お金の渡し方問題”、想像以上に奥が深いんですよね。
私たちが子どもの頃って、お小遣いといえば「財布に入った現金」が当たり前でした。
お正月にもらうお年玉も、紙のポチ袋に入ったピン札がズシリと重くて、妙にテンションが上がったのを覚えています。
でも今、世の中はすっかりキャッシュレス時代。
コンビニも自販機も、スマホひとつで決済できちゃうし、現金をほとんど使わない大人も珍しくありません。
「ATMの場所すら知らない子ども」なんて話も、今ではリアルなあるあるになってきました。
そんな中で、「じゃあ、子どもにもキャッシュレスでお小遣いを渡すべき?」って、ふと考えてしまうんです。
確かに、キャッシュレスって便利。
使った履歴も一目でわかるし、管理も楽ちん。
でも一方で、子どもにとっては「お金の実感」が持ちづらくなるっていうデメリットもある。
例えば、500円玉を手に持ったときの“重み”とか、
1000円が一気になくなる“ドキドキ感”とかって、
やっぱりリアルな体験としてすごく大事だと思うんです。
キャッシュレスにするか、現金のままにするか――
それは時代や家庭のスタイルによって答えが違って当たり前だけど、
少なくとも、「どう渡すか」に意識を向ける時代にはなったんだなぁと実感しています。
もはや“現金を渡せばOK”な時代じゃない。
そこに親としての考えや思いが、ちゃんと乗っかっているかどうかが大事なのかもしれません。
“あげすぎてもダメ、少なすぎても意味ない”という難しさ
子どもにお小遣いを渡すって、正直めちゃくちゃ難しいですよね。
「多すぎたら浪費癖がつきそう」
「少なすぎたら意味がない」
「周りと比べて少なかったら、恥ずかしい思いをさせるかも…」
そんな風に、あげる金額ひとつで悩んでしまうのが、親という生き物。
わが家でも最初は、子どもに100円ショップのお菓子を買うためのお小遣いを“都度払い”していたんですが、
そのうち「もうちょっと欲しい」「なんで今日だけダメなの?」といった交渉(という名の駆け引き)が始まるようになって。
それに対して「いや、今日は我慢して」なんて言うと、子どもはしょんぼり。
でも、毎回買ってあげるわけにもいかない。
そうなるとやっぱり、あらかじめ「ルールを決めておく」って必要なんですよね。
たとえば…
- 「月500円まで」と決めて、その中でやりくりしてもらう
- 「お手伝い報酬」として、やった内容に応じて渡す
- 「基本給+成果報酬」的に、基礎額にオプションを加える
家庭によってやり方は様々だけど、どれが正解というわけじゃなく、その子の性格や年齢、家庭の価値観に合っているかどうかが大事だと思います。
実際にわたしが感じたのは、「金額の大きさ」よりも、「お金をどう使うかを考える機会があるかどうか」のほうがずっと重要だということ。
100円でも、自分で選んで、自分で使ったっていう体験があるだけで、
子どもってちゃんと「価値」を理解し始めるんです。
だからこそ、“少なすぎても意味ない”というのは、単に金額の話じゃなく、考える余地を与えてるかどうかということなんじゃないかと。
あげるのが怖くなるときもあるけれど、逆に言えば、
「お金と向き合う練習」は、早いうちにゆるく始めておいたほうが、後がラクなのかもしれません。
親が教えたいのは、お金じゃなくて「選ぶ力」だったりする
お小遣いを渡すって、結局は「お金の教育」なんですけど、
その本質って、**“お金をどう使うかを学ぶ”ことよりも、「自分で選ぶ経験を積むこと」**なんじゃないかなと思ってます。
例えば、子どもが「このお菓子とこのジュース、どっちを買おうかな」って悩んでるとき。
それって単なるお買い物じゃなくて、**「今の自分が何を欲しているか」「それに見合う価値があるか」**を、無意識に考えてるんですよね。
お小遣いって、そういう“選択と結果”を繰り返す中で、子どもが自分の価値観を見つけていく道具だと思うんです。
逆に言えば、親が全部決めてしまって、「これはダメ」「こっちがいい」と毎回口出ししてたら、
子どもは「自分で選ぶ力」を失ってしまう。
たとえ失敗しても、「あ〜、無駄遣いだったな」と感じる体験こそが学びになるし、
「次はこうしよう」と思えたとき、子どもはちゃんと成長してる。
わたし自身も、ついつい「それは高すぎるよ!」「それ、すぐ飽きるよ!」って言いそうになるんですけど(笑)、
そこでグッとこらえて、「自分で選んでみな」と任せてみると、意外とちゃんと考えてるんですよね。
もちろん、全部を自由にしてしまうのは違うと思う。
でも、“選ばせる”ことを怖がらずに、「自分で選んだ」という実感を大切にすることは、すごく意味があると思っています。
そして、「選ぶ」ことに責任が生まれたとき、子どもは自然と“お金の価値”や“計画性”を学んでいくんだろうなと。
だから私は、お小遣いを渡すとき、
ただ「これはお金だよ」って教えるんじゃなくて、
「これは自分で未来を選ぶチケットなんだよ」って、
そんな感覚で渡すようにしています。
キャッシュレス教育、どう始めた?わが家の小さなチャレンジ
キャッシュレスが当たり前になった今、
「子どもにもスマホでお金を管理させた方がいいのかな?」って、一度は考えますよね。
実際、現金でのお小遣い管理には限界があります。
何に使ったのか記録が残らないし、お釣りがグチャグチャになったり、財布をなくしてヒヤッとしたり……。
わが家でも、小学高学年になったタイミングで、子ども専用の“キャッシュレス口座”を試してみることにしました。
といっても、最初は本格的な銀行口座ではなく、親が管理できる「子ども向けプリペイドアプリ」からスタート。
例えば「Kyash」や「B/43」など、子どものスマホで使えるものを調べて、
「これなら一緒に管理できそう」「履歴が見えるから安心」と思ったものを選びました。
初めてのチャージは、月500円。
小さな金額だけど、アプリに数字が表示されているのを見ると、
子ども自身も「ちゃんとお金を持ってる」という意識が芽生えたようでした。
最初のうちは、コンビニでお菓子を買うだけで「ピッ」がドキドキだったみたいで(笑)、
帰ってきて「今日、使ったから残り350円だって」と、得意げに報告してくれるように。
そこからは少しずつ、「何に使ったか」「次に何が欲しいか」「あといくら必要か」みたいな会話が自然と増えてきたんです。
お金って、目に見えない存在になればなるほど“感覚”で使ってしまいがちだけど、
数字として「見える化」されていることで、逆にリアルに感じられるのかもしれません。
もちろん、現金のありがたみを教えるのも大事なので、
「現金の日」「キャッシュレスの日」と分けたり、
“使えるお店”や“使えない場面”を一緒に確認しながら教えるようにしています。
キャッシュレス教育って、難しそうに思えるけど、
実は「親子で一緒に学べる」っていう意味でも、すごくいいきっかけになるんですよね。
なにより、「お金は流れるもの」「使えば減るもの」っていう実感を、
アプリというツールを通して、自分で体感してもらえるのが大きい。
時代が変われば、教え方も変わる。
でも、「お金と向き合う力」は、どんな時代でも変わらず必要なものだからこそ、
キャッシュレスも“新しい教科書”のひとつとして、上手に取り入れていきたいと思っています。
「正解」よりも「対話」。お小遣いは家族をつなぐツールかもしれない
お小遣いって、ただお金を渡すだけの行為に思えるけど、
実はそれ以上に**「親と子が対話するきっかけ」**として、ものすごく価値があると思うんです。
「何に使いたいの?」
「それはどうして欲しいと思ったの?」
「それを買ったら、どんな気持ちになる?」
そんな会話って、普段の生活の中ではなかなか出てこなかったりするけど、
“お金”を介すると、自然と生まれるんですよね。
しかも、それって決して「教育的な指導」じゃなくていい。
時には一緒に悩んだり、「それ買って失敗だったね〜」って笑ったり、
「じゃあ次はどうする?」って未来を話し合ったり。
そういう積み重ねが、“価値観”を伝える時間になっていく。
私自身、お小遣いについて子どもと話すようになってから、
「この子って、こういうことを大事にしてるんだな」とか、
「意外と慎重派なんだな」とか、
今まで見えてなかった面をたくさん知ることができました。
そして何より、「お金の話をしていい空気」を家の中につくれたことが大きかった。
昔は「お金の話=ちょっといやらしい」とか、「親が決めるもの」って感覚が強かったけど、
これからの時代って、むしろ「オープンに話す力」の方が求められる。
だって、給料のこと、税金のこと、将来のこと…。
大人になってから急に全部を理解するなんて、無理ゲーすぎるじゃないですか(笑)
だからこそ、お小遣いはただの“お金のやりとり”じゃなくて、
親と子が「お金とどう向き合うか」を一緒に学んでいく時間として、
もっとゆるく、もっと楽しく使っていけたらいいなと思います。
お小遣いに「正解」はない。
でも、「その子と、その家族に合ったかたち」を探すプロセスこそが正解なんじゃないかと、
わたしはそう信じています。
「生きる力」としてのお金の話を、子どもと一緒に。
お小遣いって、最初は「金額どうしよう」「キャッシュレスってどうなの?」という悩みから始まるんだけど、
向き合ってみると、そこにはたくさんの“親としての想い”や“子どもの成長のきっかけ”が隠れていたりします。
・自分で選ぶって、こういうことなんだ
・お金を使った後の感情も、学びになる
・話し合うことで、価値観が育つ
お小遣いは、“正解”を探すものじゃない。
親と子が一緒に悩んで、考えて、学んでいく時間そのものなんだと、私は感じました。
そして今、わたしたち大人も、お金との付き合い方が変わり続けるこの時代に生きています。
だからこそ、子どもにも「お金のことは、知っていいし、話していい」という空気を伝えていきたいなと。
もしあなたが、
「子どもにお金のことをうまく教えられる自信がないな…」
「どう話せばいいかわからないな…」
そんなふうに思っていたら、ぜひ“本の力”を借りてみてほしいんです。
実際、私もそうでした。
言葉でうまく伝えられないとき、子ども向けに書かれた本を一緒に読むことで、
お金のことを「楽しく学べる時間」に変えることができました。
ということで、次は──
子どもと一緒に読みたい、お金のことが学べるおすすめの本をご紹介します。
「お金ってなに?」「なんで働くの?」といった素朴な疑問に寄り添ってくれる、
親子の対話にもぴったりな本たちを、いくつかピックアップしています。
次のパートでご紹介しますね。
子どもに“お金の正体”を教える、心に残る3冊
──対話のきっかけになる親子の読書時間──
1. 夢と金(西野亮廣 著)
まず最初に紹介したいのが、西野亮廣さんのこの一冊。
『夢と金』――もうタイトルからして、ズバッと本質を突いてますよね。
「夢を追うこと」と「お金を稼ぐこと」って、なんとなく別モノだと思われがちだけど、
この本では、むしろ**「夢を叶えるには“お金の理解”が必要不可欠」**だということが、
めちゃくちゃわかりやすく、熱量高く語られています。
西野さんらしいユーモアとズバズバした言葉選びで、
「お金は汚いものじゃない」「知らないままでいるほうがこわい」というメッセージを、
読者の心にぐいっと突き刺してくれる一冊です。
子ども向けではないんだけど、中学生以上のお子さんや、思春期を迎えたタイミングでの親子読書にもぴったり。
読みながら「お金で夢を叶えるってどういうこと?」と、自然に会話が生まれます。
わたし自身も読んだあと、「お金って、思ってたよりずっと“道具”だったんだな」って実感しました。
2. 10歳から知っておきたい お金の心得(岩崎書店)
子どもにお金の話をするとき、最初にぶつかる壁が「どう説明すればいいのか分からない」こと。
この本はそんなとき、めちゃくちゃ頼りになります。
タイトル通り、“10歳から”のお金入門書なんですが、大人が読んでもハッとするようなことがたくさん詰まっています。
たとえば、
- お金ってどこから来て、どう回ってるの?
- 買い物って、なにを見て選ぶ?
- 欲しいものを買うって、どういうこと?
などなど、日常に即したテーマで“考えるきっかけ”をくれる本なんです。
カラフルなイラストと親しみやすい言葉づかいで構成されているので、
読書が得意じゃない子でも入りやすい。
一緒に読んで「これってどう思う?」と話すだけで、親子の価値観共有にもつながります。
「うちの子、ちょっとお金の使い方が心配…」って思ってる方にもすごくおすすめ。
3. おかねのかみさま(文・中川ひろたか / 絵・100%ORANGE)
最後は、ぐっとやわらかいタッチの絵本をひとつ。
ちょっと不思議で、でもどこかリアルな**“お金の神さま”との出会い”**を描いた物語です。
主人公の子どもが、お金について「どうして?」「なぜ?」と素朴な疑問を投げかけながら、
少しずつお金の役割や流れ、そして「ありがとうの気持ち」が見えてくるストーリー。
幼児〜小学校低学年向けですが、大人が読んでもじーんときます。
「お金の話って、堅苦しくなりがち…」
そんなご家庭にこそ、この絵本の優しさを体験してほしいです。
特に、「ありがとう」と「お金」がどう繋がっているか?というテーマは、
お金の本質=信頼や感謝に気づかせてくれる、ちょっと深いメッセージが隠れています。
お金の話を“あたたかく”するために
お金って、たしかに現実的なものだけど、
子どもと話すときには、「数字」よりも「意味」や「気持ち」を伝えていくことが大事なんじゃないかなって思います。
そういうとき、本はすごく心強い味方になってくれる。
本の力を借りて、
「お金って、ちょっと面白いね」
「大事だけど、怖くないんだね」
そんな風に感じてもらえたら、もうそれが“教育”のスタートだと思うんです。
今回ご紹介した3冊は、どれもタイプは違うけれど、
親子で「お金のことを考える」ための、やさしい入口になるはずです。
ぜひ、気になった本を手に取って、
お子さんと一緒に“お金のある暮らし”について、ゆっくり語り合ってみてくださいね。
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